西日本新聞社・九州国立博物館 共催 開館記念事業「九州宝御膳物語」 九州国立博物館/西日本新聞社主催 九州国立博物館記念事業
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熊本宝御膳物語
【佐賀フォーラムレポート】 4月11日(火) 午後1時半から佐賀県立美術館ホール(佐賀市城内一丁目 15-23)にて九州 宝御膳物語の佐賀フォーラムが行われました。下記は、西日本新聞に掲載されたフォーラムレポートです。
佐賀フォーラムの詳報動画を見る
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食文化発信の可能性探る 【2006.4.12付 朝刊】

 佐賀市の県立美術館で十一日開かれた「九州宝御膳物語」佐賀フォーラムでは、米、茶、磁器の発祥の地で、食材の宝庫でもある佐賀の食文化を発信する可能性について「佐賀こそ心を育てる食べ物を提供できる」などと、熱心で活発な意見交換が行われた。一方で、くんち料理などの伝統食が作られなくなり、地域や家庭の味が失われつつある現代の問題点も指摘され、食事によって家族や地域がきずなを強めていこうと、日本本来の食卓の重要性が提起された。各パネリストの主な発言を紹介する。

大河内はるみ氏
大河内はるみ氏
旅館「洋々閣」 女将
 最近、「地産地消」や「スローフード」などが話題に上るようになった。それは突き詰めれば、元に戻るということ。例えば米国映画などで、おばあちゃんから母親へと代々伝えられている大切な家族の味が出てくることがある。みんなが集まるときに必ず作る一品だ。これこそが食育であり、守っていかなければならないものだと思う。ただ、大切なものを守りつつも工夫していかなければならない。
  佐賀には陶器と磁器がある。唐津を訪れる観光客は、唐津の魚を食べ、唐津焼が見たいのだと思っている。陶器は重いしテーブルが傷つくこともあるが、佐賀の器に佐賀の食材を載せると、お客さまにはさらに満足してもらえるのではないか。
  学校給食で、陶磁器が使われているケースは少ない。割れると危ないからということだが、割れるものを大切に扱うことを教えなければ、物を粗末に扱うようになる。自分の茶わんやはしを大切に扱うことを教えることは大事なことだ。
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高島 忠平氏
高島 忠平氏
佐賀女子短期大学
 佐賀県は水稲栽培の発祥の地。弥生時代に、全国に普及する稲作技術が確立したのが佐賀平野だったと私は考えている。しかし当時は米のほか麦や小豆、メロン、ゴボウなどたくさんの作物を作っていた。米も遺伝子分析で多くの品種があったことが分かっており、日本の農業は、戦後に米国型の大規模農業が入ってくるまで、小規模で労働集約的であったと言える。
  日本人の食文化が出来上がった弥生時代は、食べ物だけでなく「共食」という食べ方も完成した。大きな高坏(たかつき)に食べ物を盛り付け、今で言う「銘々器」のような器に自分の分を取って食べていた。銘々器は日本以外にはなく、中国、韓国にもない。
  共食は、神様からいただいた物を皆で分け合って食べることで、家族や地域のきずなを確認するという重要な意味を持っていた。それが、出土する器にも表れている。
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貞松 光男氏
貞松 光男氏
佐賀食文化研究家
 佐賀は農産物に有明海、玄界灘の魚など食材が豊富。ただ料理の質は良くなかった。古文書を見ると、例えば画家の司馬江漢(一七四七―一八一八年)は長崎へ遊びに行った途中、中原(現みやき町)辺りで食事した時のことを「何とも異様な料理」と日記に書いている。伊万里、唐津については「味、見栄えとも良し」としている。
  有明海沿岸料理が不評だったのは、農業地帯は人々が朝から晩まで忙しく働いていたのが理由だろう。のっぺい汁のように何でも煮るのが最も手っ取り早い。食べられればいいという風潮があったのではないか。しかし独特の料理もあり、ふなんこぐいは佐賀にしかない。フナと大根と昆布という最少の材料で、求道的とも言える味付けだ。
  日本人は外来の作物や食べ方も自分に合う味に変えてきたが、最近は乱れてきている。舌の感覚はこれでいいのかと反省すべきではないか。
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豊田 謙二氏
豊田 謙二氏
福岡県立大学院
教授
 佐賀の(印象に残る)食材や料理についてアンケートを実施した。一位は呼子のイカ。二位はカキと佐賀牛。四位以下は、のっぺい汁、温泉豆腐、くつぞこ、カニだった。
  アンケート結果を地域別にみると、玄海や有明海には海産物がある。山間部にも素晴らしい素材がある。ようかんなどの甘いデザートもある。これらの食材や料理から魚介類と甘い物を除くと、残るのはレンコンやごどうふ、須古ずし、のっぺい汁などだ。
  これらに共通するのは、実は禅宗の栄西。栄西は中国から帰国後、脊振山に三年間いた。ここで精進料理や茶道に通じるものをつくったのではないか。
  脊振には精進料理の起源がある。生活習慣病の予防のためにも、野菜や豆類をうまく生かした素晴らしい料理ではないか。あなたの体が一週間できれいになるという料理をつくっていきましょう。
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古川 康氏
古川 康氏
知事
 佐賀には、豊かな食材がある。しかし、本当にいいものは、東京などに行ってしまい、手に入らないのが実情だ。
  このため、訪れたお客さんに料理を振る舞うとき、飲食店に県産の材料を使ってもらう運動に取り組んでいる。飲食店側に県内のものを調達する意欲を持ってもらうためだ。県産の材料を使って作られた優れた酒や焼酎などを対象に県の認定制度も実施している。このように自分たちでいい食材を使うようにしなければ、なかなかいい物が県内に残らない。
  一方、県には多くの食材がありすぎて、イメージが定まらない。「佐賀の食文化はこうだ。佐賀の食材はこれだ」と決めることが、情報発信の上では必要だろう。
  それは、何も立派なものでなくてもいい。昔からある料理だとか、珍しい料理が取りざたされがちだが、私たちが当たり前に食べている日常の料理だって、立派な地域の食になりうる。
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